亡くなった者(被相続人)の遺言書が出てきた場合
被相続人が遺言書を残して亡くなられた場合、相続手続きは基本的に遺言書の内容通りに進めることになります。遺言執行者が遺言書の中で定められていれば遺言執行者が検認(自筆証書遺言の場合)手続きをはじめ、遺言書の内容通りに預貯金などの名義変更をしていくことになります。
法定相続人の中に行方不明者がいる場合
亡くなった被相続人が遺言を残していない場合、各法定相続人が遺産分割協議書に署名押印(実印)をしなければ相続手続きを進めることはできません。 法定相続人の中に行方不明者がいる場合、遺産分割協議書を作成することができなくなりますので、戸籍などで行方不明者の存在調査を行わなければなりません。この調査により行方不明者が見つかればよいのですがどうしても見つからない場合で相続手続きを進めたい場合は裁判所に失踪宣告の申立てを行うことになります。
法定相続人の中に認知症の方がいる場合
認知症の方が法定相続人の中にいる場合、遺産分割協議はできなくなりますので、家庭裁判所に法定後見人の申立てを行わなければなりません。法定後見人が選ばれるとこの者が認知症の方の代理人的立場で遺産分割協議書を作成することになります。
法定相続人がいない場合
親、兄弟姉妹、甥姪がが先に亡くなるか存在しない場合、亡くなった方の相続人がいない場合があります。この場合特別縁故者がいない場合は亡くなった方の財産は国のものになります。特別縁故者は亡くなった方の生前に面倒をみてあげたりした人等が該当します。
手続き的には相続財産管理人が裁判所から任命され、その者が相続人の探索を行います。1年半くらいの期間を経て相続人や特別縁故者がいなければ亡くなった方が残した財産は国に帰属することになります。
特別縁故者の方がいれば裁判所に申立てを行えば亡くなった方の財産を譲り受けることができます。
亡くなった者(被相続人)の借金がたくさんある場合-相続放棄制度の活用
相続は預貯金や不動産などの財産だけでなく、借金などのマイナス的な義務も相続してしまいます。 借金などのマイナス財産の額よりも預貯金などのプラス財産の合計額が同じくらいか少ない場合は相続放棄の制度を利用して難を逃れることができます。 相続放棄制度は被相続人が亡くなられてから3か月以内に家庭裁判所に添付書類を揃えて相続放棄の申請をしなければなりません。借金がどれくらいあり、プラス財産がどれくらいあるかの調査を経て添付書類を揃えてからの申請になりますので、3か月の期間はあまりにも短いです。
相続人間で相続財産の分割について争いがある場合
相続人間で亡くなった方(被相続人)の財産をどのように分配するか争いがあっても、話し合いで和解し、分配内容を遺産分割協議書という書類にまとめて相続人全員でサインできれば相続手続きは執り行うことができます。しかし話し合いでも決着がつかない場合は裁判所で調停の申し立てをして第三者の意見も聞きながら相続人間で和解なり、調停勧告を受け入れたりして争いを解決してから相続手続きを行うことになります。
亡くなった者(被相続人)が一人暮らしで家財道具や住居を処分したい
一人暮らしの方が亡くなった場合、その住んでいた住まいに相続人が相続して住まないのであれば処分しなければなりません。住宅の処分、家財道具や趣味のものなどの遺品の処分、水道光熱電話利用の契約の解約などが必要になります。古い建物を解体するのにも最低50万円はかかります。相続人が遠隔地にいる場合などは古い空き家がそのまま放置されて社会問題化しています。 この場合弊所にご依頼いただければ解体工事業者に外注するなどして全て処理いたします。
亡くなった者(被相続人)が会社を経営していた
中小企業の社長・会長が亡くなった場合、その方の会社の株式の相続が起こります。 中小企業の場合社長会長が株式の過半数以上の権利者であるのがほとんどであると思いますので、今まで経営に参加したこともない相続人が多数派株主になる可能性があります。 しかし、所有と経営の分離という会社法の原理から言うと、相続人が役員になるのには問題があります。自社株式の相続の場合、経営能力のある法定相続人に多く株式を相続させるか、優秀な従業員に株式を譲渡して役員になってもらう道を探るのが最善かと思います。 自社株式の相続で法定相続人間で争いが生じる場合もございます。社長・会長が存命中のうちに会社の継承者を決めて株式の譲渡を進めておくのも一つの手段かと思います。